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2013年4月22日、朝まるステーション1949 インタビュー書き起こし

「中村先生、足裏が壊れてしまう原因ってなんなのですか?」

 2013年4月22日に朝まるステーション1494(山陽放送(RSK) 6時55分〜10時放送)に、中村考宏先生が出演した際の書き起こしです。司会の石田伸好さんのお陰で、とてもスムーズに趾のお話しと本の紹介ができました。

 石田様、RSK様、ありがとうございました。

石田 朝まる情報局。今日は本のプレゼントを含めまして、ランニングまたウォーキングをされている方に必聴であります。日貿出版社から『趾でカラダが変わる』という本が出ました。「疲れない、壊れないカラダを手に入れる」ということで、愛知県のえにし治療院院長、そして色々な研究をされている中村考宏さんがお書きになった本です。本日はその中村さんにお話しを伺います。おはようございます。

中村 おはようございます。

石田 以前に骨盤のお話を色々伺いました。

中村 はい、その節は色々御世話になりました。

石田 こちらこそありがとうございました。『趾でカラダが変わる』、足指って足偏に止まると書くんですね。

中村 そうですね。これは解剖学的用語ですね。

石田 あ、そうですか。

中村 手の指は一般的に知られている手偏の指なんですけど、趾の方は、特に外反母趾なんかで目にする機会があると思われるんですけど、外反母趾の趾(し)ですね、足偏に止まると書いて、これが足の方の指を示す漢字になっています。

石田 それだけに、「足がしっかり止まるために趾がとても大事な役割をしているんだよ」と。しかも「骨盤を目覚めさせる鍵は趾にある」ということで、「ゆっくり走ろう」なんていうことも提案されていますけど。この前書きの「はじめに」のところにあったんですけど、痛いから動かせないと思っている人が多いと思うんですけど、「動かさないから良くないことが起こるんだよ」と書かれていまして。

中村 はい、そちらの方が多いですね。

石田 そうなんですか。

中村 はい。

石田 今回、この本を書かれたのはどういうところからだったんですか?

中村 以前骨盤のお話しをさせて頂いたんですけど、骨盤の方は胴体の方の土台という意味合いで、“カラダ全体の土台が足なんですよ”という意味合いで。ただ足の土台と言っても見渡すと皆さん足の指ってあんまり使っていなくて、なかなかカラダの土台というところまでいかないんですね。で、足の元が崩れた状態で骨盤などを矯正しても、結局カラダの土台が不安定ですので、骨盤だけでは難しいですよ、というお話しですね。

石田 土台の部分が崩れている人が多いんですってね。

中村 多いですね。特に外反母趾とか扁平足とか浮き指とか色々言われますよね。皆さんカラダの土台が崩れていると言っていいと思うんですけど。

石田 まさに足偏に止まっていないということですね。

中村 昔はよく土を足の指で噛めとか掴めとか聞いたことなかったですかね。

石田 ああ、ありますね。

中村 最近はシューズの発達のせいかあんまり言われなくなりましたね。

石田 かつては地下足袋とかね。この足裏が壊れてしまう原因って何なのですか?

中村 特に親指、母趾球が大きいせいか、そちらの方に荷重を掛けて生活しされている方が多いんですね。直立で立った時、大概、踵か親指の方に体重・加重してちょっと力を入れて立位にされる方が多いんですよ。

石田 そうすると重心か後ろ重心なのか前重心なのか、不安定になっていると言うことですか?

中村 そうですね。その場合重心は大概は後ろ重心の人が多いですね。

石田 これは良くないんですか?

中村 やっぱり良くないですね。どちらかに偏るというのは良いことではないと思うんですけど。

石田 この本の中では(後ろ重心か前重心かの)調べ方があって、「葉書を自分の足の下に差し込んでみましょう」と。そうすると自分が前重心か後ろ重心か分かると。

中村 はい、葉書を小指側から差し込んで頂いて、きちっと指が(地面に)着いていれば問題がないのですが、するっと葉書が隙間に入ってしまった場合は、指が浮いているということで、後ろの方に傾いている方が非常に多いですね。それが後ろ重心です。

石田 そうした重心、バランスが悪くなると色々な不具合が体に出てくるんですね。

中村 そうですね。

石田 腰痛であったり肩凝りであったり。

中村 特に後ろ重心になると骨盤の位置関係で股関節が非常に動きにくい状態になるんですね。

石田 ああ、なるほど!

中村 股関節というのは体の中でも一番大きな関節で、可動範囲も一番大きいのですけれど、まず、それが使えないということになると、腰とか膝とかの関節で代償することになるんですね。

石田 はい。

中村 そうするとよく聞く変形性膝関節症とか腰痛とか色々問題が出てくるのですが、これは負担が偏ってくるということですね、重心が後ろに傾いたりして。

石田 なるほど。例えば外反母趾だって後ろ重心が原因になっているんだよと、色々なところに出てくるわけですね。これは足(裏)のアーチが崩れているからなんですね。

中村 アーチが崩れているからというか、そのアーチを崩す生活に慣れているということでしょうね。
 

石田 じゃあ、どうすれば良いんでしょう?

中村 そうですね、本にも書きましたけど、まず足の親指というもの役割、これが急ブレーキを掛ける役割、例えば走ってきてキュッと止まる時のブレーキの役割が親指にはあるんですね。止まる時。

石田 はい。

中村 あと、サンダルや下駄の鼻緒なんかを摘む時で器用な指なんですね。非常に便利な指なんですね、器用なことも出来るしキュッとブレーキを掛けることも出来る。それで多用される方が多いんですけど。

石田 あたしも子供の頃は寝転んだまま足の親指を使ってチャンネルを変えてましたからね(笑)。

中村 そうですよね(笑)。で、アクセルという意味合いで言えばやっぱり小指側なんですね。

石田 小指がアクセルなんですか。

中村 ええ、手でもそうなんですけど、小指側というのは体を繫げる役割があるんですね。特にお相撲なんですけど、親指側でまわしを掴みに行く場合と、小指側からまわしを掴みに行く場合ではちょっと形が変わってきますよね。足もやっぱりそういう感じになって、小指がとても重要なんですけど。

石田 前褌(まえみつ)を取る時は確かに親指からいくでしょうけど、まわしを後ろから上手を取る時なんかは小指から行きますね。

中村 そうですね。その方が腰が入るんですね。で、足の方もそうで、小指の方がアクセルになるんですけど、親指のというものが凄く器用で使いやすいですから、そちらの方に偏って加重されている方が非常に多いんですね。

石田 そういうことなんだ。

中村 親指側が土踏のある側で、そこに加重をしていますから当然アーチが崩れていきますね。

石田 はい。

中村 そこには足の足底動静脈とか大事な血管があるんですけれど、(そうした血管を)足下で踏んづけちゃっているんですね。足裏は第二の心臓と言いますけど、ここで踏んづけていると体の血液循環としても健康に良くありませんから「アーチを保ちましょう」ということなんですね。



「趾、一本一本に呼びかけるのことが大事」



石田 立ち方に意識が向ければ動き方も変わるということでエクササイズを紹介していますね。

中村 二つのエクササイズを紹介していますね。

石田 ポイントはどこにあるのでしょう。

中村 やっぱり親指にグッと加重して、太ももに力を入れてがちっと安定させて立つ方が多いんですけど、これだと非常に動きにくいんですね。またアーチを崩す原因にもなりますので、きちんと立った時は小指の頭が地面に接している感じが分かると良いですね。

石田 それがポイントですね。

中村 ポイントですね。

石田 趾エクササイズが色々書かれていて、本当に沢山ありますね。

中村 本当はもっと沢山あるんですけど書ききれないですね。随分しぼったんですけど(笑)。

石田 そのなかでも重要なエクササイズっていうのはなんですか?

中村 特に小指とか薬指とか一本一本呼びかけるもので「あなたは小指ですよ」「あなたは薬指ですよ」とまず触って呼びかけるというエクササイズが大事ですね。

石田 一本一本、小指から順番に触ってあげましょうと。

中村 そうそう。これはリハビリの基本なんですけど、見て、呼びかけて、触ってあげるという(笑)それくらい(趾の)意識が薄くなっていますから。それからあとは握り込むということが大事です。

石田 握り込む。

中村 手だと握り込むと拳骨が出来ますけど、足でも拳を作るような感じで握り込む。特に足の裏の足底筋を縮ませる、収縮させることが皆さん苦手なんですよ。いつもピンピンに足の裏を伸ばしているので。

石田 そういった趾エクササイズをしたあとに、「ゆっくり走り始めてみませんか」と、書かれていますけど、「ゆっくり走り」って良いことなんですか?

中村 良いことですね。普通皆さん公園なんか散歩されていますけど、このゆっくり走りはウォーキングのスピードよりもかなり遅いです。歩いていている人にドンドン追い越されていくようなゆっくりしたスピードで、大体一秒間に二歩くらいで凄く遅いんですけど走っている気持ちで行うのが大事です。ちょっと足踏みをしている感じでちょっと進んでいくくらいのイメージですね。

石田 こういう走り方をすると何が変わるんですか。

中村 まずゆっくりのスピードというのは本にも色々書いていますけど、例えば小指が地面についているかどうかという確認がしやすいですし。

石田 アクセルの部分のですね。

中村 そうです。あとは顔の位置ですとか腕の位置ですとか、色々ゆっくりの走りのスピードの中で色々修正しながら出来るということがメリットですね。皆さん「走る」というといきなりトップで早く走ろうとするんですけど、なかなか速い動作で自分の姿勢を気をつけるということが難しいんですね。だからゆっくりの動作の中で、本当にスローのなかで自分の頭の位置、胴体のポジション、接地、など色々気をつけて下さいということです。そうすると、30分を目安にしてるんですけれど、走った後にカラダが“ゆるむ”んですよね。

石田 ゆっくり走るから、“エコランニング”ということで、元ポパイのモデルでもあるランナーでもある木村東吉さんと、女性アドベンチャーランナーの和木香織利さんとの鼎談もありますね。

中村 はい。

石田 だからこれはランニング、ウォーキングもそうなんですけど、健康を楽しもうという方にはお薦めの一冊ですね。

中村 ありがとうございます(笑)。

石田 ゆっくり走りがどんな運動にもウォーミングアップとして有効なんだなというのが、これを読んでいてよく分かりました。

中村 ストレッチだと止まって体を伸ばすようなことを柔軟体操としてやりますよね。やっぱり動いてカラダをゆるめる、暖まった状態というのが理想ですから、動いてゆるめて実際の競技にいくという方向性が良いと思うんですけどね。

石田 分かりました(体の)ローから入っていきましょうということで、アクセルの小指をちゃんと意識しながら健康に暮らしましょう、と。そうすると骨盤も変わってくるということで。

中村 はい。

石田 『趾でカラダが変わる』“趾”は足偏に止まると書きますが、日貿出版社から出ています。愛知県でえにし治療院を開かれていますが、色んなところで講座をお持ちです。様々に日々研究もなさっている中村考宏さんがお書きになった本です。今朝は中村さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

中村 ありがとうございました。









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