藤田一照×伊東昌美「生きる練習、死ぬ練習」 第六回 苦悩の正体を見きわめる ※有料
イラストレーターである伊東昌美さんが、曹洞宗国際センター所長の藤田一照さんのもとを訪ねて、「生と死」「私とは?」など、仏教から観る“生きる智慧”についてじっくりうかがうこの対談。第六回は苦悩のカラクリについて。苦悩を叩き潰すのでもなく、忘れさせるのでもなく、慰めるのでもない、仏教の説く「苦悩の乗り越え方」を学びます。
対談/藤田一照×伊東昌美 「生きる練習、死ぬ練習」
第六回 苦悩の正体を見きわめる
語り●藤田一照、伊東昌美
構成●阿久津若菜
一照さん:「『死』だけを、あまり特別扱いにしない方がいいかもしれないですね。生きてきたようにしか死ねないですよ。いい加減に生きてきておいて死ぬ時だけ100点満点になんてできない、ムリムリ」
伊東 一照さん個人としてと、禅としてと、両方の観点からお聞きしたいのですが。
藤田 僕にはどちらか区別をつけて答えられないとは思いますけど。僕と禅と、分離した二つではないですから。で、何でしょう?
伊東 認知症になって、自分がまだらでボケた時はまだしも、完全に意識がなくなった状態があるとします。
この状態は生きているのでしょうか、死んでいるのでしょうか?
藤田 もちろん生きていますよ。第二回で話した、それまでキープしてきた「私という昼の意識」とは、さすがに様変わりしてしまっているかもしれないけど。命のところではまだ続いているでしょう。
伊東 寝ている状態に近いということですかね。でもまだ生きている、といえるのでしょうか。
藤田 「生きている」「死んでいる」という定義の問題になりますけど。でも生きていますよね。だって、伊東さんが昼寝している時だって、それは生きているでしょう?
伊東 そうですね。同じく、認知症になられた方も生きているということですよね。
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--Profile--
藤田 一照(Issho Fujita)写真右
曹洞宗国際センター2代目所長。東京大学大学院教育心理学専攻博士課程を中退し、曹洞宗僧侶となる。33歳で渡米し、以来17年半にわたってアメリカのパイオニア・ヴァレー禅堂で禅の指導を行う。現在、葉山を中心に坐禅の研究・指導にあたっている。著作に『現代坐禅講義 – 只管打坐への道』(佼成出版社)、『アップデートする仏教』(幻冬舎新書、山下良道氏との共著)、訳書に『禅マインド・ビギナーズ マインド2』(サンガ新書)など多数。
Web site 藤田一照公式サイト
伊東昌美(Masami Itou)写真左
愛知県出身。イラストレーターとして、雑誌や書籍の挿画を描いています。『1日1分であらゆる疲れがとれる耳ひっぱり』(藤本靖・著 飛鳥新社)『舌を、見る、動かす、食べるで健康になる!』(平地治美・著 日貿出版社)と、最近は健康本のイラストを描かせてもらっています。
長年続けている太極拳は準師範(日本健康太極拳協会)、また足ツボの免状取得、そしてクラニオセイクラル・セラピーというボディワークも学び、実践中。
健康についてのイラストを描くことは、ワイフワークとなりつつあります。自身の作品は「ペソペソ」「おそうじ」「ヒメ」という絵本3冊。いずれもPHP出版。
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