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藤田一照×伊東昌美「生きる練習、死ぬ練習」 第八回 輪廻転生はある? ない? ※有料

 イラストレーターである伊東昌美さんが、曹洞宗国際センター所長の藤田一照さんのもとを訪ねて、「生と死」「私とは?」など、仏教から観る“生きる智慧”についてじっくりうかがうこの対談。第八回は輪廻転生について。仏陀が「無記」として答えなかったというこの存在は、ある/なしが問題ではありません。仏陀が本当に後世に伝えたことは何だったのかを考えます。

対談/藤田一照×伊東昌美 「生きる練習、死ぬ練習」

第八回  輪廻転生はある? ない?

語り●藤田一照、伊東昌美

構成●阿久津若菜

一照さん:「僕は基本的には、『仏教は人をハッピーにするのが第一目的ではなくて、本当のことを知ることが最優先。ハッピーになるのはその副産物』というのがまずある。本当のことを知ることによって結果的にハッピーになる。ハッピーになるために、本当のことを歪めるというのは仏教的ではない、と考えています」

伊東 今回は、第一回で登場した「輪廻転生」の考え方について、お伺いします。私の個人的な経験ですが、「輪廻転生はある」という考え方を受け入れた方が、「死」そのものに対する感覚がとても楽になったことがあるんです。

藤田 それはどんな意味ですか? 伊東さんのいう輪廻転生とは?

伊東 やり直しができる、という単純な逃げ道。輪廻転生があるのなら、たとえ死んでも今回の学びに則って次がある。しかも今回の人生の続きからやり直せるかもしれないという希望で、死ぬことへの怖さは結構手放せる。その次に向かって、もっとやり方があるのではと思えたところがあったんですね。

 日本人のなかでも「輪廻転生はあるんじゃない?」と思う派、「そんなのない」と思う派に二分されますよね。「ない」と思っている人にとっては、一回限りで生が雲散霧消する、自分がなくなってしまうことへの怖さも潔さもあるだろうし。

 漠然と輪廻転生があったほうがいいなと思っている人たちは、「だってあってくれれば、今回のやり直しができるもん」みたいなのがあると思うんです。

藤田 リターンマッチができると。

伊東 はい。漠然とそんなふうに思ってるんですが。それに対して一照さんのお考えは?

藤田 リターンマッチができるという形で輪廻転生を信じたい人は、後悔を残して死ぬ人よりはいいかもしれないけど。

 逆にリターンマッチができると思ったら、今を真剣に生きられないことにならないですか?

伊東 なると思います。私が受け入れて楽になったなと思った時は、あくまでも自分を楽にするための手立てだったんじゃないかと思います。なので余計、そのへんをお聞きしたいなと思ったんです。

この記事の続きはこちらから有料(150円)でご覧頂けます。

--Profile--

藤田 一照(Issho Fujita)写真右

曹洞宗国際センター2代目所長。東京大学大学院教育心理学専攻博士課程を中退し、曹洞宗僧侶となる。33歳で渡米し、以来17年半にわたってアメリカのパイオニア・ヴァレー禅堂で禅の指導を行う。現在、葉山を中心に坐禅の研究・指導にあたっている。著作に『現代坐禅講義 – 只管打坐への道』(佼成出版社)、『アップデートする仏教』(幻冬舎新書、山下良道氏との共著)、『禅の教室』(中公新書、伊藤比呂美氏との共著)、訳書に『禅マインド・ビギナーズ マインド2』(サンガ新書)など多数。

伊東昌美(Masami Itou)写真左

愛知県出身。イラストレーターとして、雑誌や書籍の挿画を描いています。『1日1分であらゆる疲れがとれる耳ひっぱり』(藤本靖・著 飛鳥新社)『舌を、見る、動かす、食べるで健康になる!』(平地治美・著 日貿出版社)と、最近は健康本のイラストを描かせてもらっています。

長年続けている太極拳は準師範(日本健康太極拳協会)、また足ツボの免状取得、そしてクラニオセイクラル・セラピーというボディワークも学び、実践中。

健康についてのイラストを描くことは、ワイフワークとなりつつあります。自身の作品は「ペソペソ」「おそうじ」「ヒメ」という絵本3冊。いずれもPHP出版。

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