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出版前・特別インタビュー 3

「ゆっくり走りのポイント」

 ここでは、本書出版直前に担当編集者が行った中村考宏先生へのインタビューを全三回でご紹介しています。

本書で触れられていなかった意外なエピソードも登場しますのでどうぞご期待下さい。

 第三回目の今回は、本書のもう一つのテーマ「ゆっくり走り」と本書を是非読んで頂きたい方へのメッセージを伺っています。

編集 今回の本では「ゆっくり走り」を徹底的に解説していますね。



中村 やっぱり多くの人が「蹴り出しちゃう」んですよ。凄くゆっくりで歩幅も狭くしているんだけど蹴ってしまう人が多い。

編集 それは何故でしょう?

中村 脚から進んでしまうからです。本当は上体から進んで脚がついてくるのが理想なんですけど、それが出来ずに脚で上体を動かそうとするから蹴ってしまうんですね。ゆっくり走りは守らなければいけないポイントが幾つかあるのですが、最初はなかなか難しいのでしょう。

編集 今回、モデルを務めて頂いた入江先生は、バスケットボールの練習を開始する前に必ずやられているそうですね。

中村 (ゆっくり走りを)するのとしないのでは全然違うと言いますね。

編集 なかなか上半身の重みを股関節から外すというのが難しいみたいですね。

中村 やっぱり支えがないと恐いんですよ。そこで土台・趾が重要になるんですけど、どうしてもすぐ胴体・カラダで考えてしまうんですね。よく「カラダの使い方」と言いますけど、使える状態や土台がなければ何をしても意味がないわけです。だからカラダが使える状態を作るリハビリが趾エクササイズです。

 もちろん中にはいきなり裸足で歩いているうちに趾が効いてくる人もいるのかもしれませんが、なかなか難しいでしょう。やっぱり接地の衝撃を和らげてくれる趾を回復させるのが先でしょう。慣れている人は愉しそうにやっていますね。それにカラダ全体が弛むのでアップには最適だと思います。

編集 実際にやってみると骨盤の傾斜でスピードが変わるのが凄く面白かったです。

中村 それが上体が前に出ている「前傾」ということですよ。よく背中から前傾している人は居るのですが、体幹部というのは骨盤からのことですから、「前傾」というのは股関節から前に傾かせることをいうはずなんです。結構、「自分は前傾している」と思っている方でも骨盤を後傾させたまま背中から前傾している人も少なくないですよ。

編集 最初はそれほど考えずにやっていたのですが、20分位をすぎた頃から、骨盤の傾斜で脚が出るスピードが変わるのに気がついて、とても面白かったです。

中村 それは良かったです(笑)

編集 普段生活しているなかで出来る一番簡単な趾エクササイズはどんなことでしょう。

中村 一番簡単なのは歩く時に二つのことを意識するだけで大丈夫です。

編集 それは?



中村 これは本の中でも文章では説明しているのですが、「小指の頭」が地面についているのを意識しながらカンペル平面(鼻の下と耳の穴を結んだ線)を水平にして歩くことです。実際に試して見て頂くと分かるのですが、猫背で骨盤を後傾させている人でも、この二つを意識するだけで自然に骨盤が前傾した前重心の歩き方になるはずです。

編集 「小指の頭、小指の頭」と意識しがら歩くわけですね。

中村 そうです。最初のうちはなかなか小指の頭に意識がいかないと思いますので、そこは本書を読んで頂けると嬉しいです(笑)。でも本当に趾エクササイズで足の指に血が巡る、あの温かくなる感じを多くの人に味わって欲しいですね。

編集 エクササイズの順番として趾が先ですか?

中村 先です。中国武術でも「足三年」という流派があるそうですが、それは正しいと思います。

編集 この本をどんな人に読んで欲しいですか?

中村 それはもう土台の話をしているので二本足で立つ皆さんです。でももし敢えて言うなら学生さん……と、いうか学生さんを教えておられる指導者の方ですね。やっぱり足をテーピングやシューズで固めて、趾を遊ばせたまま練習をして壊れている生徒・選手が多いんですよ。あとはジョギングなどをされている方ですね。治療士として見ていても走られている方で足を壊しているケースは多いです。やっぱり母趾球加重が原因でしょう。だから走ることが精神的な健康には良くても、肉体面では良くないという人も多いと思います。

編集 そんなに悪い人が多いですか?

中村 多いですね。木村(東吉氏 本書の特別編の鼎談に参加されている)さんみたいな方は珍しいでしょう。やっぱり体の中の「ローギア」を知っておくのが重要ですよ。

編集 一番力の出るトルクフルな状態を体に覚えさせるわけですね。

中村 そうです。そのローギアで坂道を登ったり、物を持ったりすれば全然動きが変わって来ますよ。

編集 是非それを一人でも多くの方に感じて欲しいですね。本日はありがとうございました。

中村・奥様 ありがとうございました。

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