05.特別支援学校(養護学校)について
—自立活動の授業自体は週1〜2回あるんですね。
藤田 そうですね。重度の子供についてはもっと行っています。本当はもっと指導できる人がいたら良いんですけどなかなか。本校には自立活動だけを専任で行っている教師が二人いるんですけどまだまだ足りていないのが実情です。ただ本来本校は病弱の特別支援学校ですので、二人も専任の先生がいること自体が珍しいんですけどね。
—その辺りの仕組みがよく分からないので伺わせて頂きますが、特別支援学校にも病弱の生徒を対象にした学校と、そうでない学校があるわけですか。
藤田 そうです。大まかに分けると特別支援学校には、病弱、肢体不自由、知的、聾、盲の5つの障害種があります。先ほどからお話している自立活動は障がいのある児童生徒を対象にした学校では、かなり熱心に行われています。
—そういう仕組みになっているんですか。こちらの学校では病弱の児童生徒さんを対象にしているわけですか。
藤田 はい。ですから本来は喘息や心臓病などの病気で普通学校に通うことが難しい子供を対象にしているわけです。ただ今は脳性麻痺で肢体不自由な子供や発達障害や精神障害、適応障害の子供も対象にしていてそちらの方が多いです。実際本校には喘息の子供は今はいないですね。最近では喘息の子供については通院しながら地元の学校に通うケースがほとんどで、腎臓病の子供についても同じです。ですから発達障害、ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder 注意欠陥多動性障害)やアスペルガーと言われる子供達が普通の学校に行けなくなってこちらに来るというケースが多いです。
—生徒さんは小学生から高校生までというお話しですが一番多いのは?
藤田 高校生です。
—あ、そうなんですか。何となく小さなお子さんが多いイメージでした。
藤田 発達障害などはなかなかハッキリ診断が下りないケースが多く、中学校くらいまではなんとか普通学校でいけるケースがあるんですね。ただ高校生くらいになるとやはりその辺りが明確になってくることもあって今は高校生が一番多いです。もちろんそうした診断をするのは我々ではなくてお医者さんなのですが。
—実際には一般にイメージする身体的なものではなく心に問題を抱えている児童生徒さんが多いわけですね。
藤田 そうですね。実際に障がいがある児童生徒が通っている学校では、本校で言う自立活動を作業学習というかたちで沢山行われているのです。本校でこうした自立活動を専任の先生を置いて行っているのは珍しい方なんです。ですから体だけをターゲットに一人でなにかするということだけではなく、友達と一緒に体を使って何かを行うことで、コミュニケーション能力の向上を図るなど色々行っているわけです。他にもソーシャルスキルを勉強する授業もあるのですが、実際の距離感などは言葉で学ぶよりも実際の動作や動きの中で学ぶ方が分かりやすいことが多いですからね。